・キシタトゲシリアゲ Panorpa fulvicaudaria
・写真1 2010/5/9 長野県松本市里山辺藤井 ・写真2 2011/6/2 雄の トゲのアップ(長野県塩尻市下西条で採集)室内
・視覚的特徴:トゲシリアゲ群に属する小型のシリアゲムシ。体の側面は白色で吻は橙色、腹部の第7節以降は黄褐色。翅の模様は個体間でほぼ変異がなく、一本の筋が走る。第6腹部背板の後端に一本の角状の突起があり、この突起(トゲ) がトゲシリアゲの種名の由来である(写真2)。
・出現時期:4月下旬から6月に成虫が見られる。日本産のシリアゲムシ属の中では、最も早く出現する種の一つである。
・分布と生息状況:東北南部から、四国、九州にかけて分布する。トゲシリアゲ群の中では最も捕獲が安易な種と思われるが、プライアシリアゲやヤマトシリアゲ程多くは見られない。
・交尾行動:多くのシリアゲムシ属の種と同様、餌を使った婚姻贈呈、唾液を使った婚姻贈呈(写真3)、婚姻贈呈を伴わない交尾という三つの交尾戦略をとる。筆者の個人的観察によると、多くの場合、婚姻贈呈には、餌を使うと思われるが、全く唾液を用いないわけではない。
・食性:シリアゲムシ属の種は動物質だけでなく、花や果実などの植物質も食すが、本種は特に他のシリアゲムシの比べ植物食の性質が強いと思われる。また、珍しい観察例として、フジの葉を食べることがあった。
・写真3 2010/5/24 口の先にあるのが雄が吐き出した唾液の塊で、緑白色をしている。手前が雌で、雌が唾液を摂食している(長野県松本市里山辺で採集)室内
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