スカシシリアゲモドキ

 

 

 

 

・スカシシリアゲモドキ Panorpodes paradoxa


      
・写真1 2011/7/2 無紋型の雌           ・写真2  2011/7/9  網紋型の雌                  ・写真3  2011/7/9  つま紋型の雌          
どれも長野県松本市内の個体。写真1は野外、写真2、写真3は室内


視覚的特徴体全体が飴色。雄では特に翅に紋様は見られないが、雌では三パターンの斑紋が確認されている。更に、雌雄において、翅の短い短翅型が存在する。また本種はシリアゲモドキ科に属し、シリアゲムシ科の特徴である背器官が見られず、吻もより短い。網紋型は一見するとプライアシリアゲのようにも見えるが、吻が短いので区別できる。

・出現時期:5月下旬から6月にかけて成虫が見られる。

・分布と生息状況本州以南に分布する。日本産のシリアゲモドキ科の中で、最も普通に見られる種である。ただ、短翅型は山地性が強く、北アルプスや南アルプスの一部で分布が確認されているのみである。

・交尾行動:
多くのシリアゲムシ属の種と同様、餌を使った婚姻贈呈、唾液を使った婚姻贈呈、婚姻贈呈を伴わない交尾という三つの交尾戦略をとる。シリアゲムシ科と異なり、シリアゲモドキ科には背器官がないので、交尾中に雄が雌の翅を挟む行為は見られない。そのせいかどうかは分からないが、交尾中、やたらと動き回る。

・雌の3パターンの翅の変異:3パターンは、無紋型(写真1)、網紋型(写真2)、つま紋(写真3)に分けられる。なぜ雌に変異が多く見られるのか、詳しくは解っていない。尚、中間型のような個体も見つかっている(写真4)。

・短翅型と長翅型:上記のメスの斑紋の変異の他に、本種には短翅型と長翅型という、別の変異が存在する。普通、低地で見られるのは長翅型であるが、高地(亜高山) に行くとまれに、翅の短い短翅型個体が取れることがある。短翅型は雌雄両方に見られる。雄(写真6) は体が小さく、相対的に体より触角が長く、翅にうっすらと茶色い斑紋(写真6では分かりにくいが、ちょうど雌の網紋型の模様を薄くしたような印象) があり、多少、翅が短くなる。雌(写真5) では顕著に翅が短くなり、飛ぶことができない。専ら、跳ねたり、素早く歩くことで移動する。また、短翅型は夜行性と言われ、夜間、灯りに寄って来ることが確認されている。

b
・写真4  2011/7/9 型の区別がつかない雌(長野県松本市で捕獲) 室内

f                   ggg
・写真5  2011/7/16 短翅型の雌 長野県松本市入山辺            ・写真6  2011/7/16  短翅型の雄 長野県松本市入山辺            







分類topへ

 

inserted by FC2 system